翻訳のOTI

翻訳のOTI

OTIが考える 翻訳の役割 – 今後

翻訳とは

翻訳とは、「ある言語で表現された文を他の言語に移し変えて表すこと」と、国語辞典にあります。

翻訳への過去の取組み

弊社が翻訳の仕事を始めたのは1986年です。
その20年ほど前、1967年に技術翻訳者を育てる会社、「日本科学技術翻訳協会」が東京都港区北青山に設立されました。同社は、技術翻訳の専門機関であると同時に、技術翻訳者を発掘するために日本国内の数箇所で年1回の資格試験を実施していました。成績優秀者には同社の翻訳の仕事が任せられ、また、技術向上を図るための研修が設けられるなどしていました。
当時、一部の純学術論文は別として、技術に関する資料全般や取扱い説明書、仕様書などを、英語等の外国語で書き表すことは容易ではなく、日本から発出される技術英文資料のうち、完全な状態であったのは、10%程度に過ぎなかったと言われています。「日本語の特殊性」が、この不利な立場を増長させたようです。

機械翻訳の歴史と進歩

IT(Information Technology: 情報技術)の進歩に伴って「機械翻訳」の歴史が始まります。しかしながら、1990年の第1次機械翻訳ブーム、続く1995年の第2次機械翻訳ブームも、全面的に翻訳を機械で処理するまでには至りませんでした。
その後、文法のルールなどを基にした「ルールベース機械翻訳」、2010年には統計情報を利用した「統計ベース機械翻訳」が注目を浴びました。2016年にはさらに、文章全体を考慮して文脈や文意をより正確に処理できるニューラルネットワークを採用した「ニューラル機械翻訳」(グーグル翻訳)が登場し、従来よりも自然な訳文を提示できるようになりました。

機械翻訳の今後と課題

近年、グーグル翻訳等が着実にその精度を向上させたことにより、機械を使った翻訳作業は日本においても広く関心が持たれるようになってきました。
では現在、機械翻訳でどのような事が出来るのでしょうか。たとえば、機械翻訳で日本文を英文に翻訳する場合を考えてみましょう。日本語を英語に単純に置き換えてみても、すべて意味の通る英文が得られるわけではありません。原文日本文の意味を汲み取って英文に置き換えるわけですが、ふさわしい修飾語と被修飾語を英文の適切な場所に配置していくことは、機械には容易ではありません。なぜなら、日本語と英語の構文(syntax)が異なるからです。
更に、言語には表現(expressions)と意味(meanings)があります。良い文章は表現と意味の差が少なく、そのまま他の言語に変えることが出来ます。しかし、多くの日本語の文章には表現と意味の間に差があり、雑な文章にはかなりの隔離が見られます。また、同一人物であっても、その時の精神状態によって表現が変わることもあります。したがって、翻訳に必要な情報を段階的に学習しながら、訳文を作る必要があります。表現から出発した英語をそのまま使うわけにはいかないのです。

質の良い翻訳を確保するには

機械翻訳から質の良い翻訳を得るにはどうすれば良いのか。OTIの試みと見解は、topic – 後半「機械翻訳で良質の翻訳を確保できるか – OTIの試みをご覧ください。